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「無農薬、無化学肥料、自家採種。この3つは続けていきたい」鈴木さんちのお野菜 – 鈴木 和夫

「すべての野菜を無農薬で育てています」横浜市泉区 鈴木さんちのお野菜。園主の鈴木 和夫(すずき かずお)さんにお話をお聞きしました。
鈴木さんちのお野菜のホームページ

さわやかな香りがする野菜たち

横浜で無農薬・無化学肥料栽培で農業をはじめたきっかけを教えてください

鈴木 新規就農者として、横浜市泉区で無農薬・無化学肥料で野菜を栽培はじめてから17、18年くらいになります。農業との出会いは、祖父母が農家だったので子供ながらにできることを手伝っていました。

結婚をした後で、農業をやっていこうとは考えていました。富山でお米作りをする計画もありました。ただ、ご縁があって徳島で自然栽培の農園で研修生として過ごすことになったんです。ここで自然農法を学びました。農業を学んだのがここだけなので、無農薬・無化学肥料で栽培する農業しか知らないんです(笑)。

園主の方が当時77歳でしたが、バリバリの現役ですごく影響を受けたんです。とても魅力的な人で、こんな生き方をしたいなって思ってしまったんですよ(笑)。そのまま徳島に残って農業を続ける選択肢もあったのですが、地元横浜でやりたい気持ちが強かった。

自家採種までされているとお聞きしました

鈴木 自家採種を行っています。畑で育てた野菜から種を採取する。いまでは、種取りをまでしている生産者の方は少ないかもしれませんね。ここでは昔から採取しています。とても手間のかかる作業なんですけど(笑)。栽培している野菜すべてではないが、ほとんどの野菜の種取りをしています。

たくさんの種類の種

花を咲かせて最後は種を取ります。花を食べるのもおいしいんですよ。無農薬だからそのまま口にできます」。最近では、種屋さんからも問い合わせがきますよ。日本産のオーガニックの種子はなかなか入手することが難しくなってきているんですね。とにかく手がかかる地道な作業ですから(笑)。

春菊の種。種取りが終わるまで、片付けができないので畑の管理も大変です

ここの野菜はとても香りがいいとお客様からの声もあるとか

鈴木 個人的には、野菜の味に大きな影響をあたえるのは肥料だと思っています。有機肥料を使えば、味はとても濃くなります。化学肥料を使うと味をコントロールしやすいのです。味が安定している。ここでは、ススキや茅などの敷き草を堆肥として使っています。化学肥料はもちろん、鶏糞や米ぬかなども使いません。そうやって土壌を改良していきます。

その影響で、野菜の味がとてもさわやかだと言われます。そして、香りがいいんです。春の畑は葉物野菜がたくさんありますが、散歩で近くに来られた人は、ここの畑は香りがいいと言います。これは実際の野菜で味わっていただくしかないのですが(笑)。

あとは、野菜の大きさはこんじまりとした感じ。慣行栽培のものと比べれば少し小さい。野菜は本当に旬が短いし、味もどんどん変化していきます。カタチも変わってくる。それはとても自然なことなんですよね。そうしたことも含めて楽しんでもらえる人には、とってもよい野菜だと思います。

均一にはならない、カタチや色、大きさ。野菜本来の美しさを感じると、鈴木さん

ご自分で料理もされるんですね

鈴木 最近はみなさんお忙しいので、手間をかけて料理をすることが難しい人が増えていますよね。だから、野菜の食べ方に詳しくない方もいます。一般のお客さまだけでなく、プロの料理人にも食べ方を伝えます。

自分で作った野菜なので、美味しい食べ方を伝えられるよう料理もします。焼き菓子も作りますよ(笑)。料理も大切だと思いますが、まずは、生でそのまま食べていただきたいですね。野菜の味、香りが一番よくわかります。冬場のにんじんは特に評判がいい。

いろいろな栽培スタイルの共存共栄

自然栽培や慣行栽培など、農業のスタイルについて思うところを教えてください

鈴木 最初にきちんとお伝えしたいのは、農薬を使うことは悪いことではないです。自分自身は農薬をまくより作業より、草を取る作業を選択したというくらいのこと。仮にすべての農業が無農薬栽培になったら、現在の慣行栽培も含めた野菜の生産量はまかなえないと思います。それが大前提としてあると思います。

ただ、全体の割合として、もう少しオーガニックのスタイルが増えて欲しいという思いもあります。そのためには、生産量や収穫できる時期、野菜の見た目など受け入れる土壌や、販売できる流通網や場所など社会的な枠組みが必要ではないでしょうか。生産者個人としての努力でできる範囲としては、現状が限界なのではないでしょうか。

最近でも災害などで、流通がストップしてしまうことが多くありますよね。そういうときに、近いエリアに農産物があることはとても大切なことだと思います。やはり地域の人のためにも、ここで自然栽培を続けていきたい。

野菜つくりにもいろいろなスタイルがあって当然で、共存共栄していくべき。自然栽培をうたっている人の中でも、畑を耕す人も不耕起の人もいます。草をそのままにする人も刈り取って畑にすき込む人もいる。いろいろな人、スタイルがある方がいいと思います。

近所で無農薬、無化学肥料で栽培されている生産者の方がいることをつい最近まで知りませんでした。自家採種した種を見せていただきましたが、本当にたくさんの種がありました。ひと手間をかけることの積み重ねをとても大事にされています。ひとつひとつの作業、農業に対する思いに愛情を感じました。
取材:2018年07月16日 堀尾タモツ

鈴木さんちのお野菜
http://www.suzukisan-oyasai.com
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