消費者からみた有機農業のわかりにくいところ

何か具体的な例はありますか?

相原 例えば害虫が発生したとき。農薬ではないが害虫対策として散布できる「資材」があります。それまでの有機農業では使用していなかったものです。というよりも、使うことすら考えなかったものです。この「資材」があるときから、法という名のもとに使用してもいいですよ、ということになりました。

資材に頼る有機農業。つまり資材がなければ持続できない農業ということです。永続的ではない農業を、はたして有機農業と呼んでいいのだろうか。そういうことが議論されたのです。

「安定した儲け」を出すことはビジネスとしては大事なことではありますね

相原 もちろん有機農業でも安定した生産を追求します。それでも、生産量に波は発生してしまう。これは有機農業においては仕方のないことです。その波をできるだけ小さいものにおさえようと努力する。そのために必要なものが技術と経験なのです。

また、安定供給が最大の優先事項になってしまうと無理や無駄が生じてくる。例えば過剰生産ですね。野菜が足りない状態を無くそうとするあまり、無駄に多くの野菜を作ってしまう。

そして市場の価格を安定させるために野菜を廃棄する。それをしないと国からの補助金が出ないというケースもある。そういう矛盾や無駄を生んでしまう仕組みを改善していかなければなりません。



改善案としてはどんな方法が考えられますか?

相原 ひとつの答えが小さくまとまったコミュニティの中で完結できる仕組みです。ひとつの規模が小さくても数を多くすればいいのです。昔の消費者グループのようなコミュニティでなくとも、直売に毎回来てくれお客様が増えればいいのです。

価格を例にして考えてみましょうか。有機JASを取得した農産物、特に自然食品を扱ったお店での販売価格を高いと感じる消費者の方も多くいると思います。しかし、それは何と比べて高いのか、ということも考える必要がありますね。

お店の立場から考えれば経営が成り立つようにするためには価格も上げなければならない。売る側、買う側の両方にとっての適正価格とはどういうものなのか。これを生産者も消費者も考えていく必要があると思うのです。

野菜の適正な価格は難しい問題です

相原 どの価格であれば適正なのか、それを決めるのは生産者と消費者の関わりだと思います。だからこそ、生産者と消費者が一緒に育っていく関係性が重要なのです。

最初は「安全な食べ物を」「体に良さそうだから」という単純な理由で有機農業との関わりをスタートするのもOKなんです。シンプルな動機ほど、しっかりとした軸になる。継続した関係の中で、相手の立場や状況を理解できるよいうになっていく。

それが、お互いに育っていくということです。生産者は消費者のことを、消費者は生産者のことを考え理解することでお互いが成長していく。この関係性こそが有機農業の核となるのです。

関係性の中で、いろいろな問題を共有して解決していくのだと

相原 これがお店での「買う」「売る」だけの関係の場合、「安い」「高い」だけのつながりになってしまうかもしれません。例えば、先日スーパーの有機野菜コーナーに有機JASマークのついた野菜が売っていました。

その価格が結構高い値段で、この金額なら近くの有機野菜農家から直接購入すれば何倍もの量の野菜が買えます。

しかし、その売り場で金額だけ見たお客様は「有機野菜は高い」というイメージだけが残るかもしれない。でも、それが流通の宿命でもある。その有機野菜を扱っているお店が経営を続けるためには、売れ残ったとしてもその金額を付けざるを得ない。そういう関係性だけでは、生産者と消費者の成長はないと思います。

相原さんご自身も、就農した頃は有機農業の本質をわかっていなかったとおっしゃっていましたが

相原 バブルの時代を生きてきたから(笑)、モノを大事にしてない生活スタイルでした。必要なものをどんどん買うという意識。いい車に乗りたいとか(笑)。いまはまったくないですけど、昔はそんな感じだったのです。

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