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「お米屋としての精米へのこだわり」 山田屋食糧-持田広人さん

横浜市旭区でお米屋(山田屋食糧)を営む、持田広人さん。代表取締役であり、「お米マイスター五ツ星」の資格を持つ、お米のプロフェッショナル。
お米や田んぼを取り巻く現状から将来に向けての展望、お米について知っておくと便利なあれこれまで。お米にまつわる幅広い内容のお話をお聞きしました。(2015年7月 取材)
山田屋食糧 持田さん

山田屋食糧

横浜市旭区今宿東町1626
TEL:045-951-0218
http://www.yamadayakome.co.jp/

お米屋としての精米へのこだわり

お米屋はただお米を売るだけではなく、技術を売る場所です。例えば精米山田屋では、少しだけ胚芽を残す精米をします。胚芽に栄養素が多く含まれているからです。一般的には白米にすると9割の栄養分を取ってしまっていると言われています。そうした精米をするために、ほぼ仕入は玄米で行っています。

また、技術を充分に発揮するための道具、つまり機械も重要です。残念ながら田んぼは、いろいろゴミが捨てられてしまうことがあります。煙草の吸殻や飲料水のビンなど。ビンが割れて田んぼに置き去りにされてしまうこともあります。これらのゴミはすべて取り除く必要があります。

例えば、コイン精米機には石抜き機という、石を抜く機械だけが付いている場合がほとんどです。しかし、すべてのゴミは石抜き機では取りきれない。金属などゴミにもいろいろな種類があります。また、ゴミ以外にも虫に食べられたりして黒くなってしまったものも取り除く必要があります。それらに対応でき設備を整えています。

衰退していく農業の現場

日本の農業が高齢者に支えられている状態なので、跡継ぎがいない場合は廃業せざるを得ない。どんどん労働人口が減っていく中、お米作りに関しても生産者の減少はデータにも表れています。農業自体が衰退していく状況にあることは確かです。

3.11の後、米価が高騰しました。しかし昨年、平成26年産のお米が大暴落し、それによって高級なお米を扱っていた生産者は、三分の二ぐらい収入が減ったという話も聞きます。

3千万円の年収が2千万円に減るということになります。2千万円あれば十分と思われるでしょうが、田んぼ一枚、一反から最低でも10万円ぐらいの収入がないと赤字になってしまう。12万円くらいの収入があっても、経費を除くとわずかな金額が手元に残るという状態です。

休耕田にしないための、輸出用のお米作りや契約栽培

まず、前提としてお米作りは今年休んで、またいつか再開しよう、といはいかない。毎年作り続ける必要があります。つまり、休耕田にしないための努力、田んぼの保全活動が重要です。

山田屋では休耕田対策として2つ事業に取り組んでいます。ひとつは、減反の対象となっている田んぼで輸出用のお米を作ってもらうこと。もうひとつは、生産者に契約栽培をお願いして全量のお米を直接買い取ることです。

輸出用のお米については、減反対象の田んぼでも作れます。輸出用、家畜用、菓子類などに使われる加工用のお米が対象です。

お米の需要は、国内では下がっているが海外では増えています。山田屋の保全活動に賛同してくれた人がシンガポールにいます。この方と協力してシンガポールへの輸出を2年前くらいから始めました。今後、タイ、香港へのルートも開けそうです。

輸出用のお米についても、少しでも高い金額で買い取りをしているので、市場での価格における競争力では負けてしまいます。シンガポールでは、レストランなどの店舗向けではなく、一般家庭用向けの販売に力を入れています。

また、日本のお米はもともと高いのです。日本のお米を選んでいただくには付加価値が必要で、私たちは特殊な玄米を輸出しています。それは、お米の表面を薄く削って炊飯器でも炊けるようにした玄米です。

シンガポールのような暑い国では、ふくよかな体型の人も多くいらっしゃいます。シンガポールでも国として健康的な体型にしていきましょう、という方針が打ち出されていいます。そんな背景もあって、玄米食への関心度が高まっている感じがしています。

契約栽培は、山形、長野、福井、静岡県の生産者にお願いしています。そこで作られたお米を全量買い上げすることで、農業経営の安定につながればいいと思っています。市場での価格が下がっても契約した金額で買い取りしますし、もともと市場価格よりも多少高めですが生産者の方が少しでも安心してお米作りができるよう取り組んでいきたいと思います。

※編集部注 減反政策は2018年度に廃止されました。

お米の研ぎ方について

お米の研ぎ方で粘りもでる、さっぱりした食感にもできます。その日のメニューによって研ぎ方を変えてみることをオススメします。例えば、カレー。粘りのあるご飯で食べる人は少ないと思います。しかし、カレーのときだけ粘りの少ない品種のお米を使う人もあまりいないですよね。そこで、お米の研ぎ方で粘りの強さをコントロールします。お米をいつもより余分に研ぐと粘りが出て、さらっと簡単に研げば粘りを抑えられる。ただ、研ぎ過ぎは栄養分が抜けてしまうので、ほどほどの時間で調整して試してください。

お米を食べると太る?

茶碗一杯分のご飯は6枚切りの食パンの1枚と同じくらいのカロリーです。ご飯はお米に140%の水を加水してできています。半分以上が水分です。食べたときの感じが「重い」と言っても、水分なのでご飯を食べると太るこという認識は間違っていると思います。

また、小麦粉の食品は消化が良いため、朝パンを食べたらお昼がくる前にお腹がすいてしまう人も多いと思います。食べやすくするためだけでなく、腹持ちを良くするためにバターやマーガリン、ジャムなどを塗ってしまい、ご飯より多くのカロリーを必要としてしまう場合が多いのではないでしょうか。

お米と水の量について

炊飯器でタイマーを使ってご飯を炊く人がほとんどだと思いますが、研いだ水も時間とともに少し傷んでくるんですね。研いだあと冷蔵庫に保管できればいいのですが、一般の家庭では難しいですよね。

ご飯を炊く1、2時間前にお米を研ぐか、研いだお水を取り替えるのが良いと思います。お水を変える場合は、重さをおぼえておく。140%の水で炊くので1キロのお米には1.4リットルの水が必要です。

1リットルの重さは1kgですから、計2.4kgになっていれば1kgのお米が炊けます。この比率を覚えておけば、ご自宅でのお米の分量に合わせた量で水を入れ替えられます。

お米の保存方法

精米してから2週間ぐらいはお米の味は変わりません。「精米したてがおいしい」言われますが、実は精米してから1日経っている方が味はいいです。精米したては、お米の表面が少し荒れているので、1日寝かせておく方がよいのです。

2週間以内に食べ切れない場合には、タッパーウェアに入れて冷蔵庫の野菜室に入れておきましょう。他の食べ物の臭いもつきやすいので、タッパーウェアに入れておくことをオススメします。

山田屋食糧について

昭和40年創業。山田屋という名前の通り、山のものと田んぼのものを扱っている会社です。山のものというのは薪とか燃料です。米は田んぼから取れるもので山田屋という屋号になっています。一般的なお客さまと業務用、そして輸出用の三種類のお米を取り扱っています。

米の専門家集団として、お米マイスター資格・日本雑穀協会の雑穀クリエイター資格・米飯管理技能士資格・お米アドバイザー資格・マクロビオテイックインストラクター資格などのお米と玄米菜食に係る各種資格を習得。炊飯のご相談からメニュー開発までお手伝いいたします。

田屋食糧有限会社

横浜市旭区今宿東町1626
TEL:045-951-0218
http://www.yamadayakome.co.jp/

インタビュー動画

山田屋について

お米の配達・発送もしています

精米へのこだわり

地域との交流も大切にしています

衰退していく農業の現場

米価の変動による生産者への影響

休耕田にしない取り組み

契約栽培で生産者の方の安定収入を目指す

田んぼの保全活動と輸出

独自に海外販売ルートを切り拓く

シンガポールの家庭向けにお米を

買っていただく方に価値のあるお米

お米の研ぎ方によって粘りが変わる

お米を食べると太る?

お米のパッケージは裏面も確認を

お米と水の量の関係

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