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第2回 トマトの受粉にハチを使わない理由

トマトの成長をお届けする第2回目の日記。小間園芸・一貴(かずき)さんに、「トマトの受粉にハチを使わない理由」をお聞きしました。

第2回 2108/02/26

トマトの木に沿って張ってある紐は、なんのために

一貴 地面についてしまうと病気にかかりやすくなるので、地面に這わないようにしておく必要があります。

紐の張り方で気を付けることはありますか

一貴 張り具合、巻く位置ですね。
最初はゆるめで張っておきます。これからも成長するので、上に伸びていきやすいよう、少したるませています。

紐を巻く位置にも気を付けないと、実がならなくなってしまうこともあります。適切な場所に、大事な箇所を気づけないようにとても神経を使う作業です。

木、芽、花、葉がきちんと成長できるように、気を配ります。

しばらくは紐が必要ですか

一貴 紐は収穫が終わるまでつけたままです。

気が大きくなるにつれて、実も大きくなり、重たくなってくるので、この紐に絡ませながら木をまっすぐ上に成長させる大切な役割を果たします。

写真の中央に2つあるのがトマトの「芽」です

成長にあわせて紐を巻いていきます。とても注意して作業しないと、芽がポキッと簡単に折れたりするのです。

受粉はハチに頼らないとのことでしたが

一貴 過去にはハチによる受粉をしていたこともあります。その場合、トマトの種が大きくなってしまうのでは、ということが気になりました。食べたときの食感が気になる。お客様からも、そういう声があったのです。

人手による受粉での苦労は

一貴 受粉のタイミングですね。受粉させるものとそうでないもの。さらにすでに受粉したもの。
これをきちんと見極めておく必要があります。

花が開いたら受粉。それも一回だけです。二度やるとダメ。その一方で、受粉を忘れてしまうと、当然実がならない。一本の苗でも、受粉させるタイミングが違うので、ひとつひとつの花を見て、これは受粉させる、これはまだ、これは受粉させた、ということを覚えておく必要があります。

上は花が咲いていますが、下はまだです。こうした違いをひとつひとつ見分けて、手を入れていきます

これを550本、やるんですね…

一貴 はい。この時期に丁寧に観察して、適切に手を入れてあげることが大事です。

先のことでいえば、6、7月に気温が上がってきたときはさらに注意が必要です。日光にあたるだけで表面が赤くなります。成長にともなって全体に赤みがついてこないと、味にも影響します。

いっぽん一本の苗に紐を張るだけでも大変な作業だと思います。それぞれの苗の成長にあわせて、適切な場所に紐を巻きつけていく。さらに、受粉のタイミングを見極めながら、適切な時期に作業を行う。どれも、トマトの成長にあわせて行うことなので人の都合でコントロールできないことですね。それが一番大変なことなのかもしれません。
取材:2018年02月26日 堀尾タモツ

横浜市泉区 小間園芸