畑のものは畑にかえす

農場内循環とはどんな考え方でしょうか?

相原 基本は、畑のものは畑にかえすということですね。動物性のものが必要であれば、数頭の家畜を飼って糞尿を利用する。相原農場にも以前、豚・ヤギ・羊がいました。畑で刈った草を食べさせて、動物の体を通して出てきた糞尿を活用する。

こういう循環は、有畜複合経営という考え方で有機農業の基本的な部分でもあります。畑での栽培バランスもとれるし、経営面でも鶏の卵を売ることで野菜以外の収入も生まれます。栽培面だけでなく、経営も安定させることができる。

これの最たる例が養鶏ですが、地域とのおりあいをどうつけるかという、現実的な問題があるのも事実です。相原農場でも、いまは養鶏はやっていません。いまの時代、豚や鶏を飼うことが難しい。そういう意味では、現在の状態は本来の有畜複合経営というスタイルではありませんが、野菜を作る上でプラスになっている、という状態にはあります。

堆肥も同じような考えで作られているのですか?

相原 有名な有機農業の実践家でもある大平博四さんの言葉に、「有機農業は土作り、土作りは堆肥作り」というものがあります。堆肥の役割は土壌改良。日本の土壌は酸性なので、石灰を使ってphを戻すということが一般的にいわれています。

相原農場では堆肥だけでphの調整ができているので、石灰は使用していません。土壌改良、改善にも堆肥は効力を発揮します。つまり、肥料としての役割よりも土の状態を維持するためのもの、という考え方です。

ここに積まれている堆肥には落ち葉や木などが入っていますね?

相原 堆肥の材料を積みあげて、米ぬかやおからなどを混ぜ合わせます。切り替えしをやって、しっかりと分解が進むように調整します。材料の木はあまり細かくする必要はありません。細かくしすぎると、未分解のまま畑にまいてしまうことがあります。ある程度の大きさを残しておけばカタチで未分解のものを見分けることができる。

細かくなると表面積も大きくなり、土に入ったときの悪影響が大きくなる。多少の大きさのものがそのまま畑に入ったとしてもそれが害になることはありません。やはり、完熟もしくはそれに近い状態にすることが大事です。

地域との連携に支えられている部分もある?

相原 相原農場がある藤沢市宮原は、植木屋さんの数が多いのです。植木屋さんとのつながりがあるので、このような材料・素材に困ることがありません。年末、お盆前後は植木屋さんが忙しい時期なのでそれにあわせて量も増えますが、常に一定量の堆肥がある状態です。

いまは付き合いの長い植木屋さん3軒くらいから、材料を届けてもらっています。木を届けてもらうときに、適正なサイズに調整してもらったりしていますが、この関係性を作り上げるまでには、お互いに試行錯誤してきました。協力してくれる植木屋さんも代々つづく農家です。地域の中で消防団活動などをともおこなってきた仲間でもあります。そういったこともすべて含めて、お互いの信頼関係につながっているのだと思います。この関係性が続く限り、ここの堆肥がなくなることはありません。

「必要なもの」を遠くから取り寄せる。この行為自体にコストやエネルギーがかかっている。つまり、どこかに無理があるということ。自分たちの手が届く範囲で、「必要なもの」を集めて、うまく使うこと。相原農場が目指している有機農業の一番基本にある考えですね。農場内循環、地域内循環を継続してきたいと思っています。



相原成行さんに有機農業についてお話をお聞きした記事




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