畑のものは畑にかえす

どんな体験ですか?

相原 化学肥料や農薬を使っていて、草一本生えていない畑を借りて農作業をしたことがあります。その畑を耕うんしたとき、土の感じがシャリシャリという冷たい感覚を受けたのです。土の粒子も細かく、見た目もきれい。

でも、その後で自分の畑を耕うんしてみると、ふかふかとした感触があった。あくまでも、耕うん機のロータリーの歯を通して感じた感触の違いなのですが。この感覚の違い、体験がとても印象に残りました。

借りていた畑と粟飯原農場の畑で分解するスピードにも違いがあったのですか?

相原 借りていた畑で収穫が終わった後、残渣も含めてすきこみ、分解するのを待ってみました。残渣の量も少なかったにもかかわらず、分解するまでにかなりの時間がかかりました。自分の畑は、一面緑のような感じで草が生えていても、あっという間に分解してしまうのです。

どの畑でも、冬や夏に分解の時間がかかるのはあたり前ですが、適度に土がしめっていて、気温も適度な状態で同じタイミングで耕うんしても分解のスピードが違ったのです。

その違いはどこからくるのでしょう?

相原 これはあくまでも自分の感覚的なものですが、土壌微生物の数だと思っています。土の中にいる生きものの数によって分解のスピードが変わるのだと考えています。土の中にどれだけの生きものがいるのか。基本的なことですが、有機農業にとって、とても大切なことだと改めて実感することができた。条件の違う畑での体験は、貴重なものになりました。



草も畑にとっては、大事なものになると

相原 これについては別の体験談もあります。「ニンジンから宇宙へ」という本の著者、赤峰 勝人さんに会いにいったことがあります。そこで育てていたほうれん草がとてもおいしかったのです。色は薄い黄緑色で、外の葉は黄色っぽいくらいですが、こんなにおいしいほうれん草は食べたことがない、というくらい衝撃を受けました。

そのとき、草を大事にしていると赤嶺さんが教えてくれたのです。草が野菜を美味しくしてくれるのだ、と。それまでは、畑に種が落ちたら、すぐに外に運びだすのが当たり前でした。しかし、赤嶺さんのほうれん草の味を信じて、草を畑にすきこむ手法に変えたのです。

その後、野菜を買ってくれているお客様が「最近野菜がさらに美味しくなったね」と言ってくださったのです。草をすきこむようにしたことは伝えていなかったので、びっくりしました。それも、はじめて野菜を買ってくれたお客様ではなく、提携購入のお客様でずっと相原農場の野菜を食べてきてくれた方でした。そういうことが実際に起こってしまうと、草をすきこむことには意味があるのだと考える方が自然なことです。

草が味にも影響を与えていると

相原 影響はあると思っています。なぜなら、草も成長のために光合成を行って葉緑素を増やしている。さらに、畑の土から吸収した栄養素も蓄えている。その草を畑の外に出してしまうことは、畑の地力を奪っていることになる。

その場で生み出されたものは、同じ場所に戻す。このようなやり方が、それぞれの持つ力を適材適所に活かすことにつながる。これが相原農場における農場内循環のひとつのカタチだと思います。

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