横浜市泉区にある野菜直売所「トマトハウス」。水気耕栽培で育てたトマトが自慢です。金子昇一(かねこ しゅういち)さんにお話しを伺いました。
季節を通して、安定した味、収量のトマトをお客様に提供できるのが水気耕栽培の良いところ
水気耕栽培の特徴を教えてください
金子 土での栽培でも一年を通じてトマトを作ることはできると思いますが、土の肥料管理は難しいですよね。肥料を与えすぎると茎が太くなったり、それ以外のことでもいろいろな問題が発生しやすい。それと比較すると、水気耕栽培はそういう問題は発生しにくいと思います。
季節を通して安定して美味しいトマトを栽培できる
金子 そうですね。真夏のハウス内は温度が相当上がるため、その期間は収穫作業はしません。その時期をのぞいて、10月から翌年の6月 いっぱいくらいですね。トマトの価格も夏場は下がってしまうし(笑)。
通常は1年2作の栽培体系が多いと思います。5月末頃から6月の頭に種をまき、12月いっぱいまで収穫。その作は終わりにして、12月からまた種をまき、4月頃から5月、6月頃まで収穫、というサイクルが一般的でしょうか。
ここでは、一度販売を開始したら栽培している間はトマトを切らさないで、お客様にトマトを提供したいと考えてやっています。
それまでに経験してきたこと、学んできたことが水気耕栽培に結びついた
水気耕栽培をはじめたきっかけは
金子 学校を出て10年くらいサラリーマンをやっていました。事情があって農業をやるようになりました。最初は親と一緒に作業していましたが、自分にあった栽培、野菜がないかと探していたんです。そのときにハイポニカという栽培方法を知りました。
それはどういう出会いだったのでしょう?
金子 一本の木に一万個なるトマトという本と巡り合ったんです。それを読んで、これをやりたい!と思いました。これが一番いいのかなと。当時は水気耕栽培を実践している人が周囲にはいませんでした。
そこからどうやってスタートを?
金子 栽培の現場をを訪ねるところから始めました。そこで目にした光景は、ぶどうの棚式で天井に茎をめぐらせて一本の木にトマトがたくさんなっていたんです。ぶどうと同じようにトマトがなっている光景は驚きでした。食べてみると味もおいしく、さらに感動しました。
次に、実際に栽培している千葉までハウスを見学に行きました。そして、自分のハウスに導入することを決めて、メーカーに研修にいたのです。そこでは、種のまきかたや管理方法などを学びました。同時に温室を発注して一年目の9月に種をまきは、翌年2月から直売所もオープンしました。なので、なにも知らない、わからない状態からのスタートでしたね。
その状態からよくここまでに、という感じもありますか
金子 会社務めをしているときに公害防止管理者 水質第二種という資格をとっていました。また、有害物質を扱っている施設もあり、いろいろと勉強をするチャンスがあったんですね。
学校も機械工学でしたが、本当は薬学部にいきたかったんです。いま振り返ってみると、もともと興味があったこと、学んできたこと、経験してきたことが結果として集約されて辿りついた先が、水気耕栽培っだということなのかも知れません。
このハウスで栽培しているトマトの品種は
金子 ハウス桃太郎です。いろいろと試してみた結果、この品種がこのハウスには一番適していました。、温室栽培というと、気候などあまり影響がないと思われがちです。しかし、それは間違いで、曇りや雨の日が3日くらい続くと花が落ちたりしてしまうことも。
また、春先や秋には、曇天でも気温が急にあがったりする時期があります。そうなると、水分のバランスが崩れてしおれたりすることもあります。試行錯誤した結果、ハウス桃太郎はそうおう影響を一番受けにくい品種だったのです。もちろん味もよいですよ(笑)
1本の苗からかなり多くのトマトがなっていますね
ハウス桃太郎は、1本の苗からだいたい25段まで実がつきます。ミニトマトは34段くらいでしょうか。
相当多い段数まで実がつくんですね
金子 そうですね。露地栽培だとだいたい7段くらいでしょうか。水気耕栽培だとこのくらいの段数まで収穫できます。
水気耕栽培だから水も重要ですか
金子 ここの井戸水が、とてもいい水なんです。最終的に100メートルくらいは掘ったと思います。85メートルくらい掘ったときに貝殻が出てきたので、もしかすると海だったのかもしれませんね(笑)。
取材:2014年04月09日 堀尾タモツ
- 取扱い品目/トマト
- 営業期間/10月~6月
- 営業時間/10:00~14:00
- 定休日/月
- 駐車場/有
- 住所/横浜市泉区弥生台74-12
- 電話番号/045-804-7800