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虫が野菜を救う!?

矢島農園 白菜の畑

害虫には天敵を

茨城県つくば市にある農研機構で害虫研究の話をお聞きする機会がありました。
テーマは、

  • ハウス栽培で害虫の天敵による防除方法
  • 作物に寄生する線虫とその防御について

です。

「ハウス栽培で害虫の天敵による防除方法」について書いてみます。テーマだけ聞くとちょっと難しく生産者のための話、だと思いますよね?でも、農薬をできるだけ少なくする手段のひとつとして虫を使う、という研究なので食べる側にもとても関係のある話なのです。

ハウスでの施設栽培は、気候や季節に左右されにくい環境で野菜を作ります。おかげで私たちは1年を通じていろいろな野菜を食べることができるようになりました。このハウスの中の環境、実は野菜だけでなく害虫にとっても住みやすい環境なのです。ハウスの中に外から他の生物が入ってこないように遮断しています。外から生物が入ってこられないのでハウス内の害虫にとっての天敵(昆虫)がいない環境が作られているのです。

そこで、害虫の天敵となる昆虫を使って害虫を駆除できないか、と研究が進められています。天敵が駆除してくれれば、いろいろな問題が解決できそうですが、やはり生物に活躍してもらうことは簡単なことではなさそうです。

天敵を使う際の難点。天敵をハウス内に放すタイミングを間違えると、時すでに遅し・・・。どんな天敵を入れるかも大事です。害虫は1種類ではないので、ハウス内にどんな害虫がどのくらいの数いるのかを調べる必要が。調べるといっても、目で探すしかありません。さらに天敵となる虫を使いこなせるようになるまでに3年程度必要!それだけ苦労しても、農薬を使用するよりもコスト高になる可能性が高い…。これだけを見ても天敵を導入するハードルは相当に高いことがわかります。

安心・安全の裏側では

しかし、そこは研究に研究を重ねて、「バンカー法」という手段が実現性の高い方法として確立されつつあります。バンカー=銀行、です。天敵銀行をあらかじめ施設内に作っておく。つまり、天敵を用意しておいて害虫を待ち伏せる方法。ハウス内に作物にとって無害なエサ・天敵を用意、天敵となる虫が生活しやすい環境を作ります。こうしておけば、害虫が発生したときにはそれを迎え撃つ天敵がすでにハウス内にいる、というわけです。これで害虫防除の効率がアップ、環境を汚染することもなく、生産者に対する毒性もない。農業のプロと虫使いのプロが組んで野菜作り、なんていう日が来るかもしれませんね。

さらにバンカー法を導入しやすくするための、バンカーとなる植物、エサ、天敵となる昆虫がセットになった導入キットも作られています。生産者と研究所が協力して、ハウスでの実験も進んでいます。今回の研究は数ある中でもほんの一例なのだと思います。私たちの知らないところで、こうした努力、研究が日々行われているんですね。こうした努力の積み重ねによって、より安心で安全な野菜が作れていると思うと本当に感謝ですね。

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