「横浜とれたて野菜」を始めた理由

山本温室園 カンパリトマト

サイトを始めた理由

なぜ、僕がこのサイトを運営しているのか聞かれることが多くあります。農業とインターネットってなにか関係があるのか、そもそもお金にならなそうなことをなんでやっているの?という疑問があるのでしょう。このサイトでも自分自身活動、思いなどについては書いてこなかったので、これからはきちん伝えていこうと思います。

僕自身の本業はWebプロデューサーです。堀尾タモツ事務所という会社をやっています。僕の名刺の肩書きは「Webプロデューサー。ときどきアシスタントファーマー。」。アシスタントファーマーと名乗っているのは、昨年から農家さんでアルバイトを始めたからでず。農作業をお手伝いするボランティア団体にも所属しています。週1、2回は農作業のお手伝いをしています。他にもこのサイトの運営や直売所を探せるアプリなどをすべて自費で作成、運営してきました。

農業はクリエイティブである

様々な面から農業に関わることで、強く思うことは「農業はクリエイティブである」ってことです。僕自身は農業を少しお手伝いしているだけなので、わかったようなことを言うなとお叱りを受けるかもしれません。広告業界、Web業界で28年間仕事をしてきましたが、そこでやってきたこと、考え方、根本にある部分では共通することが多いのです。クリエイティブという分野で考えるならば、農業も広告もネットも同じフィールド。僕自身が農業に惹かれたのは、自然なことだったのかもしれません。

そして、このサイトを運営している理由。最近ある方に送ったメールにその答えがありました。

ここからがそのメール。
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今年に入ってすぐに、こんなニュースがありました。

「イオン、パートナー農家の野菜を店舗に当日直送 今年春より開始」

直営農場で採れた野菜を店舗に直送するもので、朝に収穫した野菜が1~3時間後には店頭に並ぶ。「パートナー」と呼ぶ地域の生産者との契約数を増やし、大手スーパーは地域生産者とのつながりが弱いといった課題が克服する目的がある。サービスの概要はこんな感じです。私たち消費者にとってもいいことばかりのように思えますね。他にも配送業については様々な企業が力を入れている。Amazonも会員向けに特定の地域に対して1時間以内で配送するサービスを開始しました。近い将来、生鮮食品も配送サービスの対象になるでしょう。

農家さんが近くて遠い存在になってしまうかも

しかし、ちょっと気になることがあります。

イオンのような大企業は進出も早いが撤退も早いということ。数年前から地方に進出したショッピングモールの撤退については一時期ニュースで多く取り上げられていました。撤退するときにはもともと営業していた専門店も廃業しているというケースも多いでしょう。農業についても同じことがいえないでしょうか?イオンと契約した農家さんが出荷の大部分をイオンに任せた場合、万が一イオンが撤退した場合は?廃業してしまう農家さんが出てくるかもしれません。ちなみに畑が耕作放棄地になってしまうと元に戻すために数年は必要といわれています。

もっと気になることは、農家さんの顔が見えにくくなること。配送環境が整備されればより日本各地から農産物が届きやすくなります。季節に関係なくいろいろな作物が食べられる一方で、生産者と消費者の距離は遠くなります。誰が作った作物なのか、わかりにくくなっていきます。こんな話もあります。スーパーなどので「顔の見える農産物」としてイラストが入った野菜などが売られていますが、そのイラストの人物は生産者ではなく、販売者だったという事例もあります。野菜を作った人の顔ではなかったのです。もちろんそれがすべて悪いことではありませんが、配送網が整備されるということは、様々な種類の作物がお店に並ぶということでもあるのです。さらに、TPPが締結されれば海外からの輸入も増えます。金額的にまったく勝負にならない農作物も出てくることは間違いありません。しかしそれは本当に安心できる農作物でしょうか?便利になることで近くの農家さんとの距離は遠くなってしまうかもしれません。近くにいるのに顔は見えなくなっていく。

安心して野菜を買う方法

では、安心して野菜が買えるようにするためにはどうすればいいのでしょう。僕がたどりついた答えは、病院と同じく「かかりつけの医者」を見つけることでした。同じ地域で近い距離で、野菜を作る人と知り合いになる。農薬の問題や遺伝子組み換え、産地偽装など、食べ物の周囲には相変わらず不安なニュースが溢れています。大事なのは信頼できる「人」を見つけることです。すべての不安要素を取り除くことができなくても、この人が作るものだったら安心と思えるためにはその人の考えを理解しなければなりません。そのためにコミュニケーションをとる。そうして関係性を築くことができれば、農薬を使用している場合でも、なぜ農薬が必要なのか、安全性はどうなのかということを理解できるはずです。

お気に入りの農家さんを見つけよう

農家さんを応援し、活動をサポートしていくということが大事なことになっていきます。農家さんを応援するって、難しくて面倒なことに感じるかもしれません。僕にとってはクリエイターを応援することと同じ感覚です。誰にもお気に入りのクリエイター、芸能人、作家、漫画家、歌手などがいますね。その人の作品やチケットを購入するとき、純粋に作品を楽しむ気持ちとこの人の活動を応援しようという気持ちがあると思います。応援することで、その人の作品をこれからも楽しんでいきたいという気持ち。農家さんに対しても同じような気持ちを持てるようになったらいいなと思うのです。その人の作る野菜がおいしいから買う、野菜作りに対するこだわりに共感できるから買う、だからその人の活動を応援するという気持ち。月に一回は直売所や街中のマルシェで野菜を買ってみる。そこで農家さんと話をしてみる。農家さんと出会える場所はたくさんあります。

そうはいっても、野菜なんて誰がつくっても同じでしょ、という声が聞こえてきそうです。クリエイターと同じように思い入れなんて持てない…。トマトはトマトで多少すっぱいか甘いかだけの違い…。しかし、トマトは日本だけでも100をこえる品種があると言われています。酸味の強いトマト、フルーツのような甘さのトマト。ミニサイズからソフトボールサイズまで。当然、育て方も様々です。できるだけ水を与えないで極限状態にトマトを追い込み、甘さを最大限に引き出す。野菜に水は欠かせないものだから十分に水を与えて成長させる。土をまったく必要としない、データ管理された水と栄養分だけで育てる水耕栽培。品種の選び方や育て方、そこにも農家さんの個性があります。

まずは興味を持つことから始めてみる

個性は畑にも表れます。僕は取材でいろいろな畑に行っていますが、畑に足を踏み入れるときが一番、わくわくどきどきする瞬間です。畑に一歩足を踏み入れると見えている世界が一変します。足の裏に感じる、土のなんともいえない、柔らかでほどよい弾力。空間にはとても気持ちの良い「気」のようなものが溢れているのを感じます。不思議なことに生命力に満ち溢れているのを感じます。この感じ、なにかに似ているなといつも思うのですが、思い浮かぶのは、トトロの住み家。メイがトトロに出会うシーン。小さいトトロを追っかけて木々の中をくぐっていき、その先でトトロに出会いますね。その空間だけ外とは別世界のようです。外からは見えているようで決して見えない世界。普段の生活の中ですぐ隣にあって、いつも目にしているのだけど意識を向けてきちんと見ていない。見ているけど見えていない。畑はまさにそんな空間。一度、のぞいて欲しい世界です。

そんな野菜や畑のこときっかけに農家さんに対する興味が持てたら、応援するきっかけになるかもしれません。自分の感性に合う、農家さんの考えに共感できる、味が好みの野菜を作る農家さんを見つけることができたら、きっと応援したくなる気持ちがわいてきます。農家さんが活動を続けることができれば、あなたがこの世の中で一番安心できる野菜を買い続けることができるのです。さらにその野菜を通じて、食に関すること、自分のライフスタイル、身近な環境についてなど、食を中心にして自分の生き方まで改めて考えるきっかけを与えてくれるかもしれません。
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メール、ここまで。

「農業」は自分自身にはかかわりのない、遠いことと考えてしまいがちです。でも、とても身近で、難しいことでも面倒なことでもなく、とても楽しいものです。このサイトが「もっと農業を好きになる」きっかけになるといいなと思いながら、サイトを育てていきます。

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